
ソフトウェアテストの基本原則って、バグを全部見つけること?
違うよ!
「テストではバグをすべて取り除けない」って原則があるの


じゃあ、テストしても意味ないじゃん!
あるよ!
バグは特定の場所に集中することが多いの!


えっ、じゃあバグにも「人気スポット」があるの?
まあ、そんな感じだね
今日は、ソフトウェアテストのポイントを重要な原則から丸っと解説するね

ソフトウェアテストとは
ソフトウェアテストとは、開発したソフトウェアが設計通りに機能し、バグやエラーがないかを確認するための重要なプロセスです。ソフトウェアがユーザーの期待に応え、機能的に優れていることを証明するためにはテストが必要不可欠です。テストは製品の品質保証に直結し、ユーザーに高い満足度を提供するための基盤となります。
ソフトウェアテストの目的
ソフトウェアテストの目的は、製品の品質を確保し、開発リスクを低減させることです。主に、以下の3つが挙げられます。
- 品質保証:テストを通じて、ソフトウェアが設計通り正常に動作し、バグがないかを検証します。
- リスク軽減:テストを通じて、発生の可能性がある重大なバグや欠陥を発見したり、発生を未然に防いだりすることができます。
- 顧客満足度の向上:ソフトウェアがユーザーの要件を満たし、使いやすい製品を提供することで、顧客の信頼を得ることができます。
テストの必要性について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーソフトウェアのテストがなぜ必要かー
ソフトウェアテストの7つの基本原則
ソフトウェアテストには、理解する必要がある基本原則があります。
テストの原則について、JSTQB(ソフトウェアテスト技術者資格の認定組織)が定義している「7つのテスト原則」を、以下に紹介します。
- 欠陥があることは示せるが、欠陥がないことは示せない:
ソフトウェアテストでは、たとえ欠陥がなかったとしても、テスト対象が本当に正しいのかを証明することはできません。そのため、テストはあくまで欠陥を見つけるための手段とし、重要な問題を早期に発見し、修正することが求められます。 - 全数テストは不可能:
システム内の全ての組み合わせやシナリオをテストすることは、不可能です。特に、大規模なソフトウェアや複雑なシステムでは、全てのテストケースをカバーすることは現実的ではありません。そのため優先順位を設け、リスクが高い部分や重要な機能に重点を置くことが必要です。 - 早期テストで時間とコストを節約:
ソフトウェア開発の早い段階でテストを実施することは、後のコストや時間を大幅に削減できます。初期段階で問題を発見すれば、早期に修正ができるため、後工程に与える影響も最小限に抑えられます。 - 欠陥の偏在:
テストで発見される欠陥の多くは、システム全体に均等に分布しているわけではありません。欠陥の大部分は、システムの一部、特に少数のコンポーネントに集中します。テストリソースを最もリスクの高い部分に集中させることで、効率的で効果的なテストを実現できます。 - テストの弱化:
同じテストを繰り返すことによって、そのテストの効果は次第に薄れていきます。状況に応じてテスト計画を定期的に見直し、新たなテストケースを追加することで、効果的なテストが実現できます。 - テストはコンテキスト次第:
ソフトウェアテストでは、システムの種類や開発環境によって、最適なテスト方法は異なります。そのため、テストはプロジェクトの特性や状況に応じて実施する必要があります。最適なテスト戦略を選ぶことで、品質向上に繋がります。 - 「欠陥ゼロ」の落とし穴:
「欠陥ゼロ」を目指すことは理想的ですが、現実には完全に欠陥のないソフトウェアを作ることは不可能です。欠陥を排除することを最優先にしすぎると、納期や予算に影響を及ぼすことがあります。現実的に許容できる範囲での品質確保が大切です。
出典:JSTQB テスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス
ソフトウェアテストの種類
ソフトウェアテストの種類は多岐にわたり、進行段階に応じた「テストレベル」、システムの特性に基づいた「テストタイプ」、そしてソフトウェアの変更後に実施する「変更テスト」があります。以下に、これらのテストについて解説します。
1、テストレベル:
テストレベルは、ソフトウェア開発の進行状況に応じて異なるテストを実施します。主に次の5つのテストレベルがあり、それぞれが異なる目的で実施されます。
- 単体テスト:
単体テストは、ソフトウェアの各モジュールやコンポーネントが正しく動作するかを確認するテストです。テスト技術者が中心となって実施し、最も小さなテスト範囲で実施されます。 - 結合テスト:
結合テストは、複数のユニットやモジュールが組み合わさったときに正しく動作するかを確認するテストです。モジュール間のインターフェースやデータの流れを検証します。 - システムテスト:
システムテストは、ソフトウェア全体が設計通りに機能するかを確認するテストです。本番相当のテスト環境で、システム全体の動作を検証します。 - 統合テスト:
統合テストは、システムの各部分が統合され、異なるシステムや外部サービスと正しく連携するかを確認するテストです。 - 受け入れテスト:
受け入れテストは、最終ユーザーまたはクライアントがソフトウェアを仕様通りに動作し、業務要件を満たしているかを確認するテストです。
各テストについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ー単体テストと結合テストの違いー
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ー受け入れテストとはー
2、テストタイプ:
テストタイプは、ソフトウェアの特性や動作による検証方法です。以下に、主要なテストタイプをご紹介します。
- 機能テスト:
機能テストは、ソフトウェアが要件通りに動作しているかを確認するテストです。主にユーザーが求める機能が正しく実装されているかを確認します。 - 非機能テスト:
非機能テストは、性能や信頼性、セキュリティといった「機能以外」の側面を検証するテストです。負荷テストやセキュリティテストなどが含まれ、システムのパフォーマンスが要求を満たしているかを確認します。 - ブラックボックステスト:
ブラックボックステストは、ソフトウェアの内部構造に関係なく、外部からの入力と出力に焦点を当てて検証するテストです。主にユーザー視点での動作確認が行われます。 - ホワイトボックステスト:
ホワイトボックステストは、ソフトウェアの内部構造やロジックに焦点を当てて、コードの動作を検証するテストです。主に、内部構造やアルゴリズムの正確性をテストします。
各テストについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ー機能テストと非機能テストの違いとはー
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーホワイトボックステストについてー
3、変更テスト:
ソフトウェアの変更後には、新たなバグや問題が発生する可能性があります。変更テストは、これらの問題を発見し、品質を保つための重要なテストです。
- 確認テスト:
確認テストは、修正されたバグや問題が本当に解決されたことを確認するテストです。特に修正された部分を重点的に確認し、再発を防ぐために実施します。 - リグレッションテスト:
リグレッションテストは、ソフトウェアに加えられた変更が、既存の機能に影響を与えていないかを確認するテストです。新たな機能追加やバグ修正が他の部分に不具合を引き起こしていないかを確認します。
リグレッションテストについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーリグレッションテストとは何か?ー
テストの進行段階や目的に応じて、最適なテストを実施することで、システムの問題を早期に発見することができます。
ソフトウェアテストにおける成功のポイント
テストを成功させるためにはいくつかの重要なポイントがあります。以下のポイントを実践することで、テストの効果を最大限に引き出すことができます。
- 早期テストの実施:
開発の初期段階からテストを行い、早期にバグを発見することで、後の修正コストや納期の遅れを防ぎます。 - 明確な目的設定とテスト計画:
テストの目的を明確にし、詳細なテスト計画を立てることで、無駄なく効率的にテストを進めることができます。さらに、テスト計画に基づいて効果的なテスト設計を行うことで、必要なテストケースを漏れなくカバーし、無駄なテストを避けることができます。 - 自動テストの導入:
状況に応じて自動化テストを取り入れることで、テストのスピードと精度を向上させます。特に、反復的なテストは自動化することで、効率的に作業を進めることが期待できます。 - チーム間の協力とフィードバックの強化:
テストの成功には、チーム内のメンバーが密に協力することが不可欠です。テスト結果を迅速にフィードバックし、問題点を共有することで、問題解決がスムーズに進み、オープンで円滑なコミュニケーションを維持できます。 - 現実的なテストデータの使用:
実際の運用環境に近いテストデータを使用することで、より正確なテスト結果を得ることができます。
まとめ
ソフトウェアテストは、製品の品質を保証し、リスクを低減し、顧客満足を向上させるための重要なプロセスです。テストは単なるバグ探しではなく、全体的な品質保証の一環として捉えることが大切です。テストの原則を理解し、状況に応じて適切なテストを選択し、計画的に実行することが重要です。これらを実践することで、テストを成功に導き、品質の高いソフトウェアの提供が期待できます。
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