オンプレミスとクラウドについて


オンプレミスとは

20世紀までは、自社運用の形態以外にサーバーや通信回線を設置する方法がなく、情報システムを構築する際は、ハードウェアやソフトウェアを、自社で保有する施設内で運用することが一般的でした。しかし、21世紀初頭から、クラウドコンピューティング、つまり、インターネットを介してITサービスが提供される仕組みが登場しました。結果、従来より用いられてきた、自社でサーバーやソフトウェアを調達・運用する方式をオンプレミス(on-premise)と呼ぶようになりました。

premiseとは構内を意味する英単語で、on-premiseは自社で保有したシステム、あるいはデータセンター内の区画を借りそこに自社機器を設置・運用する方式を指します。

クラウドとは

クラウドとは、先に挙げたクラウドコンピューティングの略です。ユーザーがインターネットを介して、クラウドサービス事業者が提供するITサービスを利用できる仕組みを指します。提供されるITサービスには、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションなど多岐にわたります。

21世紀初頭から、インターネット回線の高速化、コンピューターの仮想化技術などが発展し、広く普及するようになりました。現在では、情報システムにクラウドサービスを利用して管理運用することが一般的です。

オンプレミスとクラウドを比較する

オンプレミスとクラウドの比較

上に挙げたように現在はクラウドサービスを利用して情報システムを管理運用することが多いですが、プロジェクトの性質によってはオンプレミスが採用されることもあります。情報システムを構築する担当者はオンプレミスクラウドの両方の特徴を把握し、比較検討することが求められるでしょう。

以下では、オンプレミスとクラウドのそれぞれの特徴を、コスト、導入にかかる期間、他システムとの連携、セキュリティ、障害対応に分けて紹介します。

コスト

この部分では、情報システムを構築・運用する際のイニシャルコストとランニングコストについて、オンプレミスの場合とクラウドの場合に分けて説明します。

オンプレミスの場合、イニシャルコストは高くなり、ランニングコストは低くなる傾向にあります。イニシャルコストの面では、構築しようとする情報システムのハードウェアなどを自前で用意することになりますし、用意したハードウェアを数年間利用することを考慮して、ストレージやCPU処理能力の冗長性を確保するためにキャパシティに余裕を持たせた構成にすることが多々あります。

また、これを運用するための人員の調達をする必要があるので、イニシャルコストは高くなりがちです。ランニングコストの面では、クラウドよりもオンプレミスの方が安価であることが多いですが、システムを利用する期間全体にわたってどのようなコストが発生しうるかの予測が難しい点や、システム運用終了後に、使用されていたハードウェアなどが再利用できない点などは考慮すべき点です。

クラウドの場合、イニシャルコストは低くなり、ランニングコストは最適化しやすい傾向にあります。イニシャルコストの面では、新たにハードウェアを購入する必要がないため、低くなります。ランニングコストの面では、契約単位で課金(定額課金または従量課金)していくことになりますので、システムの利用料に応じてコストを最適化することができます。また、ハードウェア・ソフトウェアの管理はクラウド事業者が行ってくれるので、システムの運用に集中することができます。

導入にかかる期間

オンプレミスの場合、情報システム構築前の検討期間、ハードウェアなどの調達、情報システムそのものの構築といった時間が必要になるので、導入までにかかる期間は数週間から数か月の期間になります。

一方、クラウドの場合、クラウドサービス事業者のWebサイトなどでサービス内容や課金内容を選択し、契約することで運用可能となるので、即日での運用開始も可能です。情報システムのスモールスタートでの実証検証にも向いています。

他システムとの連携

オンプレミスの場合、同一ネットワーク内であれば、他システムとの連携やそれにともなうカスタマイズは容易です。特に既存のオンプレミスのシステムを保有していて、クラウドのような外部との連携が考慮されていないシステムと連携する際は、オンプレミスのカスタマイズしやすいという強みがでます。社外のシステムと連携を行う場合は、外部からの通信を可能にするためのポート解放が必要になる可能性があることは覚えておきましょう。

クラウドの場合、既存システムと連携するなら、VPN接続サービスなど、閉域ネットワークとの接続サービスが求められることに注意しましょう。

セキュリティ

オンプレミスの場合、ユーザーの要望に合わせたカスタマイズが可能なので、設計・構築にかかる費用や人員を用意できるなら、インターネットに接続しないクローズドなシステムを構築することも可能です。このようなシステムの場合、極めて秘匿性の高いデータを取り扱うこともできるでしょう。

クラウドの場合、サービス事業者側の高度な技術力をもつ専門家が管理体制を構築しているので、契約時に合意したセキュリティレベルに応じた安全性を担保することができます。しかし、クラウドサービス事業者側で情報漏洩などのセキュリティ事故・事件が起きた時には、ユーザー側の重要データが流出することがありえます。

障害対応

オンプレミスの場合、運用担当が自前で復旧を行います。ハードウェアの故障の場合は別途機器の再調達が必要になります。また、災害などでシステムが損害を受けたときは運用を中止せざるを得ません。

クラウドの場合、クラウドサービス事業者が復旧を行います。状況も問い合わせることが可能です。災害などの場合も、地理的に離れた場所にデータのバックアップがあるために、災害によってシステムの運用が阻まれることはありません。

まとめ

現在は、クラウドを利用することが情報システムに関しては一般的です。しかし、カスタマイズ性の高さというオンプレミスの利点を活かした開発も依然として存在しています。コストやセキュリティなど、情報システムに対して会社が求める要求事項がクラウドで提供されているものより高い場合は、オンプレミスが採用されることでしょう。

情報システムを構築する際には、ぜひ、オンプレミスとクラウドの特徴をよく把握して、プロジェクトを進めていきましょう。

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