【最新】進化するシステムテスト。AIと自動化の影響は?

1. テストの自動化と重要性

テストの自動化とは

システム開発においてテストとは、システムが想定通りの動作をするか確認する作業のことを指します。これは、不具合の発生を防ぐために必要な工程です。

みなさんが日ごろ使っているシステムは単体テスト→結合テスト→システムテストを経て世の中にリリースされます。

システム開発におけるテストの流れ

システム開発のテストの概要について知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ー単体テストと結合テストの違いー
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーテスト観点とはー

テストの自動化とは、専用のツールに手順を設定することで、テスト工程を自動化することです。

自動化に適さないテスト内容を含む場合があるため、導入の際にはシステムにあったツールを選び、テスト工程のどの範囲を自動化するかを事前に判断しておきましょう。

なぜ自動化が重要になってきているのか

市場のニーズが激しく変化する昨今では、システム開発に長い時間をかけてしまうと、完成したころには市場ニーズが変わり、システムが不要になってしまう可能性があります。

そこで素早くシステム開発を実施するために「テストの自動化」が注目されています。

以前は、要件定義→設計→開発→テストというステップを順番に実施するウォーターフォール開発という手法が主流でした。この開発手法では、プロジェクトの最後にテストを実施し、システムをリリースすることになります。

しかし、市場のニーズが激しく変化する時代に対応するために、計画→設計→開発→テストの小さいサイクルを素早く何回も繰り返す、アジャイル開発という手法が主流になってきました。

アジャイル開発では、小さく何回もリリースを繰り返すため、市場のニーズの変化に柔軟に対応できます。

一方で、テストも小さく何回も繰り返すことになるため、似たようなテストを何回も実施することで工数が無駄になったり、人手のテストによるミスも増えるというデメリットがあります。

市場のニーズの変化が激しくなり、アジャイル開発という手法が主流になるにつれて、テストの自動化はより重要度を増してきているのです。

アジャイル開発とウォーターフォール開発

2. テストの自動化によるメリット

テストの自動化には多くのメリットがあります。例えば、品質、コスト、納期の観点で以下のようなメリットがあります。

①品質面でのメリット
テストを自動化するためには、現状のテスト手順を再整理する必要があります。これにより、システム仕様を再確認することができ、テスト対象のシステムの品質向上に繋がります。

②コスト面でのメリット
テストを自動化することで、同じテストを何度でも繰り返し実行できます。そのため、開発が進んでテスト範囲が大きくなったとしても自動化によりカバーできます。結果的に人手不足の影響を受けづらくなり、長期的なコスト削減に繋がります。

③納期面でのメリット
テストを自動化すると、テストを素早く正確に実施できるようになるため、不具合をより早期に発見できるようになります。そのため、開発の効率化が進み、納期に余裕を持った適切なリリースを実現することに繋がります。

テストの自動化によるメリット

このように、テストの自動化により、品質の向上とコストの削減が実現され、プロジェクトのスケジュールや納期にも大きなメリットがあります。

3. テストの自動化の課題

もちろん、テストの自動化にはまだまだ多くの課題が存在します。ここでは品質面とコスト面での課題をそれぞれ紹介します。

①品質面での課題
テストの自動化によって、テストの手順の再整理や、システム仕様の再確認ができ、品質の向上ができるメリットがあると紹介しました。しかし、自動化をすれば何でも品質が向上するわけではありません。

システムの品質をどこまで担保したいか、テストに使える期間がどの程度あるかなどのテスト観点は人間がそのシステムに応じて定めなければいけません。
また、テストの結果判明した不具合について、それぞれの不具合がどれくらいシステムの稼働やユーザー体験に影響があるのかを判断しないといけません。

②コスト面での課題
テストの自動化は長期的なコスト削減に繋がりますが、いくつか課題もあります。

例えば、テスト自動化を導入する際には、テスト内容を整理し専用のツールにテスト手順を設定する必要があり、時間や労力が通常のテストを行う以上にかかります。

また、テスト自動化の設定が完了した後にも、定期的にアップデートやスクリプトメンテナンスを行う必要があります。

テストの自動化により長期的なコスト削減が見込まれるものの、テスト自動化を導入する上で特有の初期コストやメンテナンスコストがかかります。

テスト自動化のメリットやデメリットを詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーテストの自動化がもたらす、メリット・デメリットとは?ー

4. AIによるシステムテストの進化

前章では、テストの自動化における課題を紹介しましたが、AIの進化によってコスト面の課題が解消されてきています。

①テストシナリオの提案機能
テストコードを書くこと自体に時間がかかってしまっては本末転倒です。

しかし、最近ではAIがテスト対象の画面からテストすべき項目を検知し、テストシナリオを提案してくれる機能が出てきています。

例えば、テスト自動ツールのAutifyでは、生成AIを活用したテストシナリオの提案機能が搭載されており、ノーコードでテストスクリプトを作成することができます。

これにより、テストの自動化に対する初期コストを以前より削減することができるようになりました。

②セルフヒーリング機能
せっかく苦労してテストの自動化を導入したのに、システムをアップデートしたらテストコードが上手く実行されないということもあります。

そのような課題に対しては、AIを使ったセルフヒーリング機能があります。

AIが自動的にテストスクリプトのメンテナンスを行うため、壊れたスクリプトを人手で修正する必要がありません。

基本的には、システムのアップデートにより画面構成が変わると、テストコードも人手で修正しなければなりません。

しかし、AIのセルフヒーリング機能があれば、システムのアップデートに応じてAIがテストを自動で修復してくれます。

例えば、テスト自動化ツールのSlenicを使えば、テストスクリプトのメンテナンスにAIを活用できます。Slenicでは、テストスクリプトの修正案がAIによって提案され、自動でその修正案を適用することができます。

また、別のテスト自動化ツールであるMagic Podでは、システムの画面キャプチャを読み込ませると、システムのコードの変更箇所や、文字認識の情報を活用し、テストを自動的に修復してくれます。

AIによるシステムテストの進化

このように、テスト自動化ツールも日々進化しており、最近はAIの導入が進んだことで初期コストやメンテナンスコストの削減が期待できるようになりました。

とはいえ、「自動化ツールがたくさんあってどれがいいのかわからない!」という方も多いかと思います。

そのような方はこちらの記事ををご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーテストの自動化ツール比較してみました!ー

5.まとめ

AIの進歩により、テストの自動化における初期コストやメンテナンスコストの削減が進んでいます。

一方で、AIがどれだけ進歩しても難しいのが品質保証です。

テスト対象のシステムについて、どれくらい品質を担保するべきなのか、どれくらいのテスト期間がかけられるのかは、人間が判断しないといけません。

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