1.開始基準・終了基準とは

テストの開始、テストを中断させなければならない基準（再開の条件も含む）、または終了する条件を決めます。開始基準と終了基準は、テストの目的に応じて、テストレベルごと、およびテストタイプごとに定義します。

開始基準が明確に設定されていない場合、例えば開発が完了していない状態でテストに着手してしまい、テスト効率が悪くなることがあります。テスト終了条件が曖昧だと、作業完了の判断が困難となり、作業が長引いたり、不完全な状態で終了する可能性があります。このような状況を防止するために、テスト開始基準と終了基準を明確に設定しましょう。

2.開始基準(準備完了（ready）)

それぞれのテストレベルで、どのタイミングでテストを開始するかを定義します。典型的な開始基準を以下に記載します。なお、アジャイル開発では、通常、”準備完了（ready）の定義”と呼びます。

• テストの目的や範囲が明確に定義されていること。
  ⇒機能、パフォーマンス、セキュリティテストなど、プロジェクトのニーズや要件に基づいて、テスト目的と範囲を明確に定義します。
• テストで必要なリソースやテスト環境が準備されていること。
  ⇒テスト実行するために必要なハードウェア（サーバー、コンピューター、モバイルデバイスなど）、テスト対象のソフトウェアやツール(テスト管理や自動化ツールなど)を準備します。
• テストケースが作成され、レビューされており、テスト実行に適していること。
  ⇒実際のシステムやアプリケーションの動作や要件を正確に反映していることが重要です。テストケースがわかりやすく、テストの実行順序が明確であると良いです。
• テストデータが準備され、テストケースに使用可能であること。
  ⇒テストケースで使用する入力データやテスト用のサンプルデータが作成されていることを確認し、テスト開始できる状態にします。
• テスト実行のための事前条件が満たされていること。
  ⇒テストを実行するために必要なアクセス権限が付与されており、テスト環境やテスト対象となるシステムへアクセスできるようにします。

これらの事前条件が満たされていることで、テストプロセス全体がスムーズに進行し、問題の早期発見や修正が容易になります。

3.終了基準およびその評価

終了基準は、テストが完了したかどうかを判断するための基準を指します。以下は、一般的な終了基準とその評価方法の例です。なお、アジャイル開発では、通常、”完了（done）”と表現します。

• 全てのテストケースが実行され、結果が記録されていること。
  全てのテストケースが実行されたことを確認します。そのテスト結果を集計し、未実行のテストがないこと、バグが改修されていること、デグレートがないことなどを確認します。
• 実行されたテストケースの結果が、期待される結果と一致しているか、適切に評価されていること。
• 発見された問題やバグが適切に報告され、適切に対処されていること。
  報告された問題やバグが修正されたかどうかを確認します。
• テストレポートや関連するドキュメントが作成され、必要なステークホルダーに提供されていること。
• テストが完了し、テスト環境がクリーンアップされ、リソースが解放されていること。

これらの終了基準を評価することで、テストが完了したかどうかを正確に判断することができます。終了基準が満たされている場合、テストを完了し、次の段階に進むことができます。終了基準が満たされていない場合、必要なアクションを実行して問題を解決し、テストを継続する必要があります。

4.まとめ

テスト開始基準は、テストが円滑に進むために必要な準備を整えるためのガイドラインです。テストが開始される前に、目的が明確に定義され、環境やリソースが整備されていることを確認することが重要です。一方、テスト終了基準は、テストが完了したかどうかを判断するための基準です。全てのテストが実行され、結果が評価され、必要な修正が行われたことを確認することが重要です。これらの基準を満たすことで、テストの効果的な実行とプロジェクトの成功が促進されます。

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