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1.レビューでの役割と責務

レビューにはさまざまなステークホルダーが関与しており、彼らはいくつかの役割を担っています。レビューにおける役割と責務について、以下に分けてそれぞれ説明することができます。
・マネージャー
・作成者
・モデレーター
・書記
・レビューア
・レビューリーダー

①マネージャー

役割: レビュープロセス全体の指揮および監督を担います。プロジェクトの管理や方針の決定にも関与することがあります。
責務: レビュープロセスの計画とスケジュールを策定し、リソースを割り当てます。問題の解決や優先順位付けを行い、レビュープロセスの進行を監視します。

以下は、レビュープロセスにおけるマネージャーの作業の一覧とその説明になります。

作業 説明
レビュープロセスの設計と実施 効果的なレビュープロセスを設計し、実施する。
レビューの調整 レビューの目的や範囲、スケジュールを調整し、関係者に通知する。
参加者の指導とトレーニング レビューに参加するメンバーを指導し、トレーニングを提供する。
フィードバックの分析と提供 レビュー結果を分析し、フィードバックを提供し、問題点を解決するための支援を行う。
品質管理 レビュー結果を元に品質を管理し、品質向上のための戦略を策定する。
改善活動の推進 レビュープロセス自体の改善を推進し、効率性や効果を向上させる。
②作成者

役割: レビュー対象の成果物を作成します。これは、コード、テストケース、ドキュメント、設計など、ソフトウェア開発プロセスの中で生成されるあらゆる成果物です。
責務: 成果物を所定の形式に整え、必要な文書化やコメントを行います。レビュー対象物に関する疑問や問題に対応し、修正や改善を行います。

以下は、レビュープロセスにおける作成者の作業の一覧とその説明になります。

作業 説明
成果物の準備 レビュー対象の成果物を準備し、完成度を確認する。
レビューの申請 準備が整った成果物を関係者やレビューチームに申請し、レビューを開始する。
質問やフィードバックの受け入れ 関係者からの質問やフィードバックを受け入れ、適切な対応を行う。
修正の実施 レビュー結果に基づいて必要な修正や改善を実施する。
再レビューの依頼 修正や改善が完了した後、再度レビューを依頼し、確認を行う。
ドキュメントの更新 レビュー結果や修正内容を反映させ、関連するドキュメントを更新する。
③モデレーター

役割: レビュー会議の進行を管理し、議題の取り扱いや議論の流れを調整します。参加者が効果的に協力し、目標に向かって進むことを確認します。
責務: レビュープロセスの進行を調整し、参加者の発言や議題の整理を行います。意見の調整や結論のまとめ役を担います。

以下は、レビュープロセスにおけるモデレーターの作業の一覧とその説明になります。

作業 説明
レビューの進行管理 レビューの進行を管理し、議題の整理や議論の促進を行う。
参加者の役割調整 参加者の役割や責任を調整し、各々が適切な役割を果たせるようにサポートする。
議論のファシリテーション レビュー中の議論を促進し、参加者間の意見の調整や問題の解決を支援する。
進捗報告 レビューの進捗状況を関係者に報告し、必要な場合には調整や対応を行う。
フィードバックのまとめ レビュー中に得られたフィードバックや議論の要点をまとめ、関係者に提供する。
議論の終結と結論の導出 レビューの終了時に議論をまとめ、結論や次のステップを明確にする。
④書記

役割: レビュー会議での議事録や結果の文書化を担当します。会議での議論や意見、決定事項を正確に記録し、後で参照できるようにします。
責務: レビュー会議の議事録を作成し、参加者や関係者に共有します。議論のポイントや問題点、決定されたアクション項目を明確に文書化します。

以下は、レビュープロセスにおける書記の一覧とその説明になります。

作業 説明
ミーティングの議事録作成 レビューミーティング中に議論された内容や決定事項を記録し、議事録を作成する。
議事録の整理と分析 議事録を整理し、議論の要点や決定事項を明確にし、関係者が理解しやすい形式にまとめる。
議事録の配布と共有 議事録を関係者に配布し、参加者が議論の結果や次のステップを把握できるようにする。
フォローアップの確認 議事録に基づいて、議論のフォローアップや行動項目の実施状況を確認し、必要に応じて通知する。
⑤レビューア

役割: レビュー対象の成果物を評価し、問題や不具合を特定します。開発者や作成者とは異なる視点で成果物を検討し、品質や適合性を評価します。
責務: レビュー対象物を注意深く検討し、必要な改善点や問題を見つけ出します。提案やフィードバックを明確に文書化し、作成者や他の関係者に提供します。

以下は、レビュープロセスにおけるレビューアの作業の一覧とその説明になります。

作業 説明
成果物のレビュー レビュー対象の成果物(コード、文書、デザインなど)を検討し、品質や適合性を評価する。
問題の特定と報告 成果物に見つかった問題や不備を特定し、適切に報告する。
フィードバックの提供 問題点や改善提案などのフィードバックを作成し、関係者に提供する
質問や議論への参加 成果物に関する疑問や議論に参加し、必要な情報を収集し、詳細を理解する。
レビュー結果のドキュメント化 レビューの結果やフィードバックをドキュメント化し、レビュー報告書などにまとめる。
再レビューの参加 修正や改善が行われた後の再レビューに参加し、成果物の改善状況を確認する。
⑥レビューリーダー

役割: レビュープロセス全体を主導し、レビューの計画と実行を管理します。レビューアやモデレーターと協力して、効果的なレビューを行います。
責務: レビュープロセスの計画や目標を設定し、参加者を指導して役割を果たすようにします。レビューの進行状況を監視し、問題や課題に対処します。

以下は、レビュープロセスにおけるレビューリーダーの作業の一覧とその説明になります。

作業 説明
レビュープロセスの指導と管理 レビュープロセス全体を指導し、進行状況を管理する。
レビューアの役割と責任の割り当て レビューアに対して適切な役割と責任を割り当て、適切なレビューの実施を促す。
レビュー結果の分析と結合 レビュー結果を分析し、重要な問題点や傾向を把握し、統合的なフィードバックを提供する。
品質向上の戦略の策定 レビュー結果をもとに、品質向上のための戦略や改善計画を策定し、チームに推進する。
問題解決の支援 発見された問題の解決に向けて、必要な支援やリソースを提供し、適切な対応を行う。
レビュープロセスの改善 過去のレビューから得られた教訓やフィードバックをもとに、プロセスの改善を促進する。

これらの役割と責務は、効果的なソフトウェアテストのレビュープロセスを確立し、品質向上と問題の早期発見に貢献します。

2.まとめ

レビューにはさまざまなステークホルダーが関与しています。それぞれの役割と責任を果たすことで、一定水準の作業生産物レビューの実施が可能となり、作業工程における誤り等の発見率の向上などシステム開発において製品の品質が向上することが期待できます。

 

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