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1.テストと品質保証(QA)について

「テスト」と「品質保証」(QA)という用語を同じように使う方が多くいますが、テストと品質保証は同じではありません。テストは品質コントロール(QC)の形式の一つになります。QCはQuality Controlの略称であり、製品やサービスの品質を維持し、顧客が満足できるレベルに保つためのプロセスや手法を指します。QCの目的は、製品やサービスが特定の品質基準に準拠していることを確認することです。QAはQuality Assuranceの略称であり、品質を確保するための活動やプロセスを指します。QAの目的は、製品やサービスが一貫して高い品質水準を維持し、顧客の期待を満たすことです。

テストと品質保証に関して、以下表にまとめてみました。

項目 テスト 品質保証
定義 製品やサービスが仕様に従って正しく動作するかを確認するプロセス。 製品やサービスが一貫して高い品質基準を維持するための総合的なアプローチ。
目的 製品やサービスの欠陥や問題を特定し、品質を向上させる。 品質基準を満たし、顧客の期待を満たすための環境やプロセスを整備する。
対象 製品やサービスの特定の機能や部品。 プロジェクト全体の品質。
活動 ユニットテスト、統合テスト、機能テスト、パフォーマンステストなど。 品質基準の設定、品質計画の策定、品質管理ツールの導入、品質監査など。
関連するプロセス 製品やサービスの開発や改良の過程。 プロジェクト全体の進行。
影響 製品やサービスの特定の側面に影響を与える。 プロジェクト全体の品質に影響を与える。

上記表から、テストと品質保証が異なる役割と範囲を持っていることがわかります。テストは具体的な機能や部品の動作を確認し、品質を向上させることに焦点を当てています。一方、品質保証はプロジェクト全体の品質を管理し、顧客の期待に応えるための環境やプロセスを整備します。

2.テストと品質保証の事例

テストと品質保証について事例を用いてそれぞれ確認しましょう。

事例:オンライン小売業者のWebサイト

項目 テスト 品質保証
定義 オンライン小売業者のウェブサイトの機能やユーザーエクスペリエンスを検証し、バグや問題を特定するプロセス。 ウェブサイトがユーザーの期待に応え、高い品質水準を維持するためのプロセスや手法。
目的 ウェブサイトの正確性、機能性、使いやすさを確認し、顧客による良いユーザーエクスペリエンスを保証する。 ウェブサイトの品質基準を確立し、顧客の信頼性と満足度を高める。
対象 ウェブサイトの各機能、ページ、ボタン、フォームなど、個々の要素。 ウェブサイト全体やその機能、データの正確性やセキュリティ、負荷に対する耐久性など、全体的な品質。
活動 ユーザー登録、商品検索、購入処理などの主要な機能のテスト、さらにはブラウザの互換性やレスポンシブデザインのテストなど。 品質基準の設定、品質計画の策定、品質管理ツールの導入、定期的な品質監査。
関連するプロセス 開発プロセスの一部として、要件分析、設計、実装の段階で実行される。 開発プロセス全体にまたがって行われ、品質基準の設定からリリース後の監視までの一連のプロセスを包括する。
影響 バグの早期発見と修正、顧客の満足度向上、ウェブサイトの信頼性向上。 ウェブサイトの品質と信頼性の向上、ブランドの信頼性の確立、長期的な顧客忠誠度の向上。

上記の事例では、テストと品質保証がウェブサイトの品質を確保し、顧客の満足度を向上させるために密接に連携しています。テストは特定の機能や要素の品質を確認し、品質保証は全体的な品質を管理し、品質基準を定めて顧客満足度を確保します。

3.まとめ

テストと品質保証はそれぞれ異なった意味があります。テストは具体的な機能や部品の動作を確認し、品質を向上させることに焦点を当てていますが、品質保証はプロジェクト全体の品質を管理し、顧客の期待に応えるための環境やプロセスを整備することに焦点を当てています。テストと品質管理はプロジェクトの成功や顧客の満足度に直接的な影響を与えます。

 

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