JSTQB2023最新版シラバス対応

1.テスト工数に影響する要因

以下にテスト工数に影響する要因を記載します。

プロダクトの特性

プロダクトの特性は、その製品やシステムが顧客の期待ビジネスの要件を満たすための特有の性質を意味します。
テスト品質においては、製品の利用者に害があるリスク、製品の提供者に不都合があるリスクです。
具体的には、ネット通販サービスが購入者へ誤請求することや、在庫数の表示と実態の不整合が挙げられます。

これらのようなことが実際に起こってしまうと、利用者は金銭的な損害を被りますし、サービス提供者は機会の損失が発生する可能性があります。
これらは「製品」の機能不備によって引き起こされたものであるため、プロダクトリスクになります。

その他にもテストベース(要求仕様書、アーキテクチャ、会議の議事録など)の品質、プロダクトの規模、セキュリティや信頼性などの品質特性の要件、そのプロダクトの業界固有のルールや規制などもプロダクト特性に関連があります。

開発プロセスの特性

開発プロセスも同様に複数の要素が存在します。
開発モデルにはウォータフォール型、アジャイル型、DevOps型などがあります。
その組織やプロジェクトで使用している開発モデルが自動テストテストスクリプトの生成をサポートする場合、テスト工数を削減することができます。

さらにプロジェクトの目的に準じた新しい施策を取り入れる際は、組織の安定度合い成熟度合いが影響します。
人員の入れ替わりが頻繁に起こると、新しいメンバーのトレーニングに適応に時間を要します。
プロジェクトの方針または要件が安定していると、テスト工数の見積りが容易になります。

上記以外で開発プロセスの特性は、テストアプローチ、使用するツール、テストプロセス、納期のプレッシャーなどがあります。

人の特性

人の特性には、参加メンバーのスキルや経験、特に業界知識のような類似プロジェクトの知見がどれくらいあるかが工数に影響します。
例えば、金融業界や保険業界など、業界によって組織の文化やルールは異なりますが、業界標準に関する理解が深いメンバーは適切なテストケースを設計することができます。

業界の用語に理解があるため、要件の誤解やコミュニケーションの問題が減ることもあるでしょう。
これにより、テストの網羅性や効果が向上し、品質が確保されます。

また、個人的な要素だけでなく、チームとしてのまとまりリーダーシップという組織としての要素があります。
チームがまとまっていて、お互いを支え合い、協力して問題を解決することができれば情報共有やコミュニケーションが円滑に行われます。
これにより、テストケースやバグレポートの作成、問題の解決などが効率的に行われ、テスト品質が向上します。

リーダーシップが優れている場合、明確な方向性があれば、チームメンバーは目標に集中し、テスト品質向上に向けて効果的に取り組むことができます。
タスクを適切に割り当て、優先順位付けすることで、チームの効率性が向上し、テスト工数の削減に貢献します。

テスト結果

欠陥(バグ)の数は、ソフトウェアの品質を示す重要な指標の一つです。
欠陥の数が多いほど、ソフトウェアの品質が低いと考えられます。
欠陥(バグ)の量は、テストケースの網羅性やテストスイートの効果を評価するための指標としても使用されます。
欠陥の数が少ない場合、テストカバレッジが高いことが示唆されます。

また、欠陥(バグ)の内容によって、ビジネスに与える影響が異なります。
重要な機能やプロセスに関連する欠陥は、ビジネスの運営に大きな影響を与える可能性があり、重要度が高く、優先して対処する必要があります。
結果的に、検出した欠陥の数とその重要度はテスト工数に影響を与えます。

2.まとめ

テスト工数に影響を与える要因は、要件の変更やソフトウェアの複雑さ、テストカバレッジの範囲など多岐にわたります。

また、テスト自動化の度合いやバグの修正と再テストも影響します。これらの要因を適切に管理し、効果的なテスト戦略を策定することが、効率的なテスト工数の管理につながります。

株式会社GENZでは、テスト工数に影響する様々な要因を総合的に分析し、お客様のプロジェクトに最適なテスト戦略を提案いたします。ソフトウェアテストに関することは、どんなことでもお気軽にご相談ください。

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