システム開発におけるリファクタリングの重要性
模様替えすることだよね!
外見はそのまま、中だけきれいに整理するの!
突っ込めば解決!
今日はリファクタリングの重要性について解説するね
リファクタリングとは
システム開発においては、単にコードを書くだけにとどまらず、長期的に安定した品質を維持することが求められます。
そのための中心的な取り組みの一つが、リファクタリングです。
リファクタリングとは、「ソフトウェアの外部的な動作は変えずに、コードの内部構造を改善する作業」を指します。
リファクタリングは、機能追加するのではなく、既存のコードを整理し直すことで、保守性・拡張性・テスト容易性を高めます。

具体的な例として、以下が挙げられます。
- 重複したコードはまとめて1つにする
- 変数や関数の名前をわかりやすくする
- 長すぎる処理や条件は分割して整理する
こうした改善により、コードがより理解しやすくなり、将来的なバグの発生も抑えられます。
さらに、開発者にとって理解しやすいコードは、テスト担当者にとっても効率的なテストの実施につながります。
リファクタリングの目的
リファクタリングは、単に「コードをきれいにすること」ではなく、次のような目的があります。
- 品質の維持・改善
コードをシンプルで読みやすくすることで、不具合やバグの発生リスクを抑え、システム全体の安定性を高めます。 - 保守性の向上
整理されたコードは理解しやすく、修正や改修のコストを削減できます。また、新しいメンバーもスムーズにプロジェクトに参加できます。 - 変更容易性の確保
コードがシンプルに改善されると、仕様変更や新機能追加にも柔軟に対応できます。
特に長期プロジェクトでは変更が多く発生しやすいため、リファクタリングは重要なプロセスです。 - テスト効率の向上
整理されたコードは、テスト設計を容易にします。また、自動化テストやリグレッションテストの導入や維持も、スムーズに実施できます。
このようにリファクタリングの目的は、コードをわかりやすく保ち、品質を向上させることにあります。
リファクタリングの重要性
リファクタリングの重要性は、開発フェーズやテストフェーズ、さらには運用フェーズまで広がります。
各フェーズの品質を高めるだけでなく、開発全体の持続可能性にも大きな影響を与えます。

1.開発フェーズでの重要性
- 開発スピードを維持しながら、品質を確保
- 技術的負債を抑制し、将来的なコストや不具合リスクを削減
スパゲッティコードと言われる複雑なコードは、開発速度を大きく低下させます。
リファクタリングによりコードを整理することで、技術的負債の蓄積を防ぎ、持続的な開発が可能になります。
2.テストフェーズでの重要性
- テスト対象が明確になり、テスト設計が容易
- 自動テストやリグレッションテストの安定性が高まり、テスト作業の効率化に貢献
整理されたコードはテストケース設計を容易にし、テストカバレッジ(網羅率)の向上にもつながります。
また、コードが明確になることで、自動化テストやリグレッションテストの実施や維持もしやすくなります。
3.運用・保守フェーズでの重要性
- 改修や不具合対応が迅速にでき保守性が向上
- ユーザー満足度向上や保守コスト削減
リファクタリングにより、リリース後の修正や追加開発もスムーズに行えるため、長期的に安定した運用が可能となります。
リファクタリングの重要性は、各フェーズに留まらず、開発からテスト、運用までシステム全体を通して発揮されます。
「開発のしやすさ」と「テストのしやすさ」を両立し、持続可能な開発体制を実現することで、システム全体の品質保証の強化を可能にします。
リファクタリングの注意点
リファクタリングはシステムの品質向上に欠かせません。
しかし注意を怠ると、かえって開発効率を下げたり、品質リスクを高めたりする恐れがあります。
代表的な注意点を以下に紹介します。
1.時間と労力がかかる
リファクタリングは、片手間でできる作業ではありません。
コードの整理には相応の時間と工数が必要です。
さらに、リファクタリング後には、追加のテストも発生します。
これらを考慮せずに進めると、リソース不足やスケジュール遅延を招く恐れがあります。
2.一時的な開発速度の低下
コードを整理している過程では、新機能の開発や修正作業が止まり、進捗が一時的に遅れることがあります。
リファクタリングは長期的には生産性を高めますが、短期的には開発速度の低下を招く可能性があります。
3.大規模リファクタリングのリスク
一度に大規模な変更をすると、影響範囲が不明瞭になり、不具合を引き起こすリスクが高まります。
また、作業量が膨大になり開発速度も落ちやすくなります。
そのため、リファクタリングは、小さな単位で継続的に進めることが推奨されます。
これらの注意点を踏まえ、適切な計画と体制を整えて取り組むことで、リファクタリングの効果を最大限に発揮させることができます。
効率的なリファクタリングのポイント
リファクタリングの注意点を踏まえたうえで、効率的に進めるにはどうすればよいのでしょうか。
以下に、代表的なポイントを紹介します。
1.計画を立て、リファクタリングの対象を絞る
リファクタリングは「気になったところをその場で修正する」のではなく、あらかじめ対象範囲や優先度を計画して、進めることが重要です。
特に複雑なクリーンアップは多くの時間と労力がかかります。
そのため、すべてのコードを一度に直すのではなく、バグが多い部分や将来的に改修頻度が高いモジュールなど、影響の大きい箇所から優先的に取り組むのが効果的です。
2.リファクタリングのたびに、テストを実施する
リファクタリング後は、プログラムが従来通りに動作することを、必ず確認することが重要です。
特にデグレード(修正による既存機能の劣化)を防ぐため、テストを実施する必要があります。
自動化テストを導入しておくと、効率よく確認作業を進められます。
デグレードについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
3.コードレビューやドキュメント更新と併用する
リファクタリングによる改善内容は、チーム全体で共有します。
コードレビューやドキュメントの更新と併用することで、効果的に品質の持続的な向上につなげられます。
これらを意識することで、リファクタリングの効果を最大化しつつ、不要な工数やリスクを抑えられるでしょう。
また、リファクタリングには時間やリソースがかかるため、効率的に進めるにはテストのアウトソーシングによる第三者検証の活用も効果的です。

まとめ
リファクタリングは、システム開発で「品質」と「効率」を両立させるために欠かせないプロセスです。
バグを減らし、保守しやすいシステムにすることで、長期的なコスト削減や安定稼働につながります。
リファクタリングには相応の時間と労力がかかるため、一時的に開発が遅れることがあります。
また、デグレード(修正による既存機能の劣化)を防ぐため、リファクタリング後のテストは必要不可欠です。
計画的に対象を絞り、徹底したテストを実施することが効果を最大化するポイントになるでしょう。
十分なリソースや知見が不足している場合は、第三者検証やシステムテストの専門会社の活用も有効です。
外部の視点から客観的にテストを実施することで、見落としや思い込みを防ぎ、システム全体の品質向上につながります。
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